遊び心か、既成概念の破壊なのか…。埼玉県所沢市にある日本フットゴルフ協会の事務所が入る建物は、外見は“昭和”丸出しの佇まいだが、狭い階段を登りきったエントランスからその雰囲気は一変する。ウッド調のフロアにキラキラとした陽光が差し込み、大きな窓の外には公園の緑が広がっている。開放感に満ちた空間には、なにものにもとらわれない新スポーツの息吹が満ちている。

フットゴルフという新しいスポーツをけん引する協会の松浦新平会長は元サッカー選手。フットゴルフとはどんなスポーツで、いったい何を目指しているのか? 日本フットゴルフ界のキーマンを直撃した。

——いきなりですが、フットゴルフの魅力とはなんでしょうか?

ゴルフ場という景観、緑の中で思いっきりボールを蹴る気持ち良さ。あとはいろんな層の人たちが「はじめまして」でプレーできる数少ないスポーツということですね。

——フットゴルフは始めやすいスポーツですか?

間違いないですね。それには2つの側面があります。『競技スポーツ』としては昔サッカーをやっていた人は自分の技術を使ってもう1回勝負ができる。その一方で『レクリエーションスポーツ』としても手軽に楽しめます。ゴルフと違って練習をしなくても遊べるから、「みんなで行こうよ!」っていう流れもありますね。

——松浦会長はサッカー出身ですが、サッカーとフットゴルフは何が一番違いますか?

サッカーって、私が10代の子と真剣勝負をやってもまず勝てない。でも、フットゴルフなら勝てる。そういうことですね。すごく分かりやすい(笑)

——フットゴルフの上達に求められるものはなんでしょう?

僕らがよく言うのは、ゴルフ脳を持ち合わせていて、サッカーに近いフィジカルの人が強いんじゃないかなと。そんな選手たちが良い成績も出しています。

——フットゴルフを導入するゴルフ場には、どんなメリットがありますか?

それもシンプルで、初期投資がほとんどかからない、新しい層の人たちが入ってくる、笑顔が増える、ということです。昭和40年代生まれの我々世代は、県大会の準決勝まで行かないと天然芝でサッカーはできなかった。それが、ゴルフ場には僕らが憧れた天然芝が一面に広がっている。これはめちゃくちゃ気持ちいい。そこら辺のサッカー少年は、天然芝でボールを蹴る機会なんてないんです。フットゴルフ文脈でゴルフ場を紹介したら、サッカーをやっている人たちみんなに喜ばれます。これは、ゴルフ場にとっても非常に大きなチャンスです。

あとは家族ですね。コロナ期間中、家族でフットゴルフをしに行きました。妻はゴルフ場に来たことがなく、ステイホームで苦しい時期でもあったので「気持ちいい!」と、とても感動していました。フットゴルフなら妻と子供と一緒にボールを蹴れて、カートに乗るのも非日常のアトラクションです。多くの人を簡単に笑顔にできる。こういうターゲット層はいっぱいいると思いますね。

——スポーツとしてのフットゴルフの展望を教えて下さい。

将来的にはサッカー、野球と並ぶような、みんなに認知されてプレーされるスポーツにしたいです。そのためにも、オリンピックやプロ選手は大事であり、日本のゴルフ場の3分の1でフットゴルフができるようになれば、これが実現できると思っています。僕の目標です。オリンピックは2024年のパリ大会は厳しいかもしれませんが、アメリカはフットゴルフ先進国なので、28年のロサンゼルス大会で正式種目に採用される可能性は十分あると思っています。

また、プロの世界はスノーボードに似ています。いまもワールドツアーで賞金が出ていますが、それだけでは食べていけない。選手個人がスポンサーをつけてマンパワーでやっていますが、それが今後ゴルフ的な成長をしていくのか、そうじゃないのか。僕は、フットゴルフは『イノベーションスポーツ』だと思っているので、いろんなハイブリッドで発展していったら面白いなと思います。

——ところで、外見とのギャップがすごい事務所ですね。

『イノベーションスポーツ』と言っている以上、これをやっておけばいいという型にはめられるのが好きじゃない。このオフィスも実はそれが強いんです。1年半前までは、恵比寿のいわゆるキラキラオフィスでしたが、家賃も高いし、訪ねてくる人がいても余計な手間が多いだけで長く関わることがない。それは良いんですけど、でも、ここ(所沢)まで来て、この景観を見て、「すっげーな。これ大丈夫?」みたいな感覚を分かってくれたら違うのかなと。

スポーツは社会の潤滑油で、社会を良くするためにフットゴルフがあって、それはゴルフ場の新たな収益にもなるし、若年層も惹きつけられる。我々は旧来の社会システムに挑む革新者です。フットゴルフはゴルフ界のiPhoneになり得ます。それを象徴するような事務所にしたかったんです。将来的にはまた都内に戻れば良いですが、初代(会長)のときはこれで良いんじゃないかなって思っています。

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監修:日本フットゴルフ協会

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